映画「シャイニング」の続編!
1977年に発表された小説で映画化になったのは1980年。2020年には40周年となるこの作品が何と40年後を舞台とした「ドクター・スリープ」が公開されました。
シャイニングの時、有名な話ですがスティーヴン・キング原作の「シャイニング」をスタンリー・キューブリックがアレンジをして原作者であるスティーブンが映画シャイニングを毛嫌いしたと言われています。そんなシャイニングが2013年に30年後を舞台とした小説が発表され、今作の監督であるマイク・フラナガンが「キングとキューブリック両方のシャイニングに敬意を払おう」として制作したという点に注目したいです。
マイク監督は今作を原作者であるスティーブンに見せて喜んで貰ったとコメントしておりスティーブンも「この作品はドクター・スリープの”映画版だ”」と語っている事から私は期待していました。それでは早速ですが感想とレビューを書いていきたいと思います。
舞台は30年後「シャイニング」を食う者の存在
半不死の存在である”ザ・トゥルー・ノット”と呼ばれる一族。そして強いシャイニングを持つアブラという名の少女。今作の主人公であるダンですが30年前、あのホテルから生き延びた少年が大人になり、過去のトラウマから逃げ出す為、アルコール依存症になってしまい『過去の自分から逃げ出す』目的で住んでいる街を逃げ出し自分のシャイニングを封印していました。
アブラは自分の力を「魔法」と呼び隠していましたが、ザ・トゥルー・ノットの一族が野球少年を殺害する様子をシャイニングによって見てしまい、自分に何か出来ないのかとダンに救いの手を求めます。しかしダンは『相手に見つからもうシャイニングを使うな、僕は君を救えない。』と少女を家に帰します。なぜ一族が野球少年や子供を狙う理由ですが純粋なシャイニング(第六感)を持っているのは子供が多いからです。アブラ自身も強力なシャイニングの持ち主なので一族にとっては最高のご馳走と言えます。
ダンには師として導いてくれる「ディック」という人物がいます。人物というよりは幽霊ですがシャイニングの時、ジャックに殺害されてしまった料理人がダンが困った時に導いてくれていたのですが『これで最後になると思う。あの子を助けてやってくれ』とダンにお願いします。ダンは決意し半不死の一族と戦うべく、自分の封じていたシャイニングを開放し過去のトラウマと向き合っていく事となります。
原作と前作を無視しない良い作品に仕上がっていると思う
原作のシャイニングではダニー、ウェンディ、ディックが脱出するし、ホテルは炎で包まれて無くなってしまうのですが、映画ではダニーがホテルの庭にある巨大迷路に逃げ込み、そこから出れなくなったジャックが凍死してしまう設定になっています。
映画と原作の違いですが原作のジャックはダニーの呼びかけにより正気を戻し、ボイラー室の気圧を上げホテルを自らの手で燃やすのですが、映画版では最後までダニーとウェンディを追いかけ殺そうとします。今作はその両方の結末に加え、続編である「ドクター・スリープ」という世界観を壊さないように作成されていると思います。
私が一番感動したのはやはり例のホテル登場シーンでしょうか。1980年に公開されたシャイニングと変わらないホテルの内装には驚きましたね。図面を見て再現されたホテルのようですが、シャイニングに登場したホテルと図面では所々変更点があり、その変更点が解らない為、監督と美術さんは何度も映画「シャイニング」を見直して制作したそうです。これには天晴ですね。
そしてアブラを演じた天才子役と呼ばれるカイリー・カラン13歳。今作が初出演作品となるそうですが13歳とは思えない演技で観た人は「え!?あれで13歳?」と驚いた人も多いと思います。13歳とは思えないほど大人びており、演技も素晴らしかったので今後に期待したい女優さんになりそうです。
(感想)米国では大ゴケでも個人的には「まぁまぁ」な作品
ターミネータに続き、米国ではリメイク作品が大ゴケとなっているのですが私個人的にターミネータも今回のドクター・スリープも「まぁまぁ」という感想でしょうか。前作のシャイニングを観ている人であれば今作を観ても良いかなと思える作品です。映画をあまり知らない人に勧められる作品かと言われると「No」ですね。今作は前作のシャイニングを見ることが必須だと思います。
パンフレットでは前作のあらすじと今作の見どころが描かれています。内容はネタバレを含みますので上映前に読むことはオススメしません。映画を観終わった後、読むと映画が更に面白く感じるので是非購入してみてくださいね。これにて映画「ドクター・スリープ」の感想とレビューを終わりたいと思います。