松坂桃李×シム・ウンギョン主演映画
今週公開された邦画映画の中でも個人的に興味を持ったのが今作の「新聞記者」。今作は以前に須田官房長官と対決で注目を集めた、東京新聞記者・望月衣塑子の著書を実写映画化したものとなります。今作の原作者である望月衣塑子は過去にも日本歯科医師連盟のヤミ献金事件や加計学園問題で前川喜平に対し取材したり、女性新聞記者の中でも「やり手」と言われるような人物です。
そんな今作を松坂桃李×シム・ウンギョンで公開されました。シム・ウンギョンは太王四神記や新感染ファイナル・エクスプレスなどに出演しており、日本の映画としては今作が初出演となります。
監督は藤井道人で監督の中でも32歳と若手ですが過去作品として「光と血」「オー!ファーザー」や「100万円の女たち」などのドラマも手がけています。今作がいったいどのような作品なのか。早速ですが感想とレビューを書いていきたいと思います。
原作はノンフィクションだからこそ面白く、そして身近に感じる恐怖
望月衣塑子原作の「新聞記者」ですがジャンルが”ノンフィクション”だという事。新聞記者である吉岡と内閣情報調査室のエリートである杉原。出会うはずない2人が出会う事件が発生し、物語が進むのですが、松坂桃李が在籍している内閣情報調査室という言葉を聞いたことがある人はどれだけいるのだろうか。
サスペンス系が好きな私は以前に調べたことがあるのですが、今回面白いと思ったのはこういった「総理ベッタリ記者」の性的暴行のもみ消し、スキャンダル攻撃などは実際に過去に行われていたという事。例えば公文章改ざん問題や、政治家のスキャンダル。こういったニュースは平成終わり頃にもよく目にしました。
今作はフィクションとして映画化されていますがそれでも、今作の内容は衝撃でした。現代の日本を現在進行系で表している映画なのが非常に面白いと感じました。
邦画にしては珍しいストーリー構成でラストは衝撃だった
更に衝撃に感じたことは今作のストーリー構成。通常であれば問題が発生し、捜査をし、悪者が退治されハッピーエンド。が自然の流れですが、今作はあくまでも「官僚と新聞記者」という関係だという事。吉岡は新聞記者として「真実を報道したい」と思っていても上から圧力がかかれば先に進めない。杉原も官僚という立場であれば上の命令は絶対に従わなければならない。それが例え誰かが不幸になったとしても、守るべき存在があると自分に言い聞かせながら先に進みます。
今作のラストはハッピーエンドとならない所が私はむしろ良いと感じたのですが、ハッピーエンドではなく曖昧な終わり方が2人の背後にいる”上の人物”の圧力がそれだけ凄い事がよく解る。
自らの正義を選ぶか、誰かを守る為に動くのか。その答えは今作を観て是非自分で確認して貰いたいと思います。私は杉原が選んだ道は茨の道であり、家族を守るために仕方無かったと思いますね。
この映画を観終わった後、感じたことを大事にして欲しい
最近の映画の中でも非常に珍しい作品となっている今作ですが、この映画を観終わって何を感じたのか。私はそれが非常に大事だと感じました。作品を観終わって、記者である吉岡に主点を置くか、もしくは杉原に置くか。亡くなった杉原の上司である神崎に置くか。それぞれ違った見方が出来ると思います。
情報ネット社会になり今では隠蔽していた記事でも、漏洩し機密がバレる事も少なくはありません。しかしその一方で報道すべき問題を報道せず、隠蔽してしまう事もあります。そういった問題に怒りを感じるのか、悲しく思うか、恐怖と思うか。この映画を観た後、きっとその答えが見つかる事だと思います。
上映された事に衝撃受けたが観て良かった作品
最近では日本の”闇”部分として公開されたのは「万引き家族」で話題となりましたが、問題は違えど今作の新聞記者も「日本の闇」だと思います。いや、日本だけではないかも知れません。報道と政府という切れない関係は世界中で存在しているので、そういった問題を映画化出来たのは凄いことだと思います。
今作の制作・製作総指揮の河村光庸はパンフレットで「これやばいですよ、作ってはいけないんじゃないかという同調圧力を感じつつ制作過程でありましたが新聞記者は完成しました。大胆不敵な政治サスペンスであり現在進行系の政治事件をモデルにしたドラマとなっています」とコメントしています。
私個人として非常に面白いと感じた作品なので気になった方は是非劇場で見てみてくださいね。これにて映画「新聞記者」の感想とレビューを終わりたいと思います。