愛する友人や妻を失った悲しき主人公
「居眠り磐音」はTVシリーズでは観たことがあり磐音役を山本耕史が演じていました。今回の劇場版は居眠り磐音の冒頭部分と言うのでしょうか。全シリーズ6500万部という驚異的な発行部数の今シリーズですが、今回の居眠り磐音を主演松坂桃李、木村文乃、芳根京子、柄本佑、佐々木蔵之介、谷原章介など豪華俳優陣となっています。
ピエール瀧の変わりに奥田瑛二となり再撮影して差し替えての上映となります。正直、ずっと楽しみにしていた映画なので「逮捕」と観た時は「あ、居眠り磐音終わった」と思ったのですが差し替えでの上映と聞いた時には本当に嬉しかった。
私としてはピエール瀧のままでも良いとは思いますけどね。「いだてん」の時にも話題となりましたが、私は「作品に罪は無い」という意見には賛成なので、今作が上映された事は本当に有り難い事だと思います。
早速ですが、感想とレビューを書いていきたいと思います。
江戸での修行から帰ってきた3人が待ち受けていた悲劇
江戸での修行を終え、九州に帰ってきた3人ですが河出慎之輔に近づき「お前の妻が浮気をしている」と嘘を教え、慎之輔に妻を切らせます。その妻は同じく道場で修行をした幼馴染でもある小林琴平の妹であり、妹の遺体を持ち帰ろうと琴平が慎之輔の自宅に訪れ「何故切ったのか」という問に「こいつが浮気をしていて」という言葉聞き「そんな話を信じたのか!」と激怒する慎之輔。
自分が間違っていた事に気づき「舞は私の妻だ!」と刀を抜き慎之輔から亡骸を奪おうとしますが、その場で慎之輔は切られてしまいます。その事で国家老である文六に「今回の事は慎之輔には罪はございません」と伝えるも「いや、切った事に対しては問題だから処罰せよ」という判断を下します。
心身ともに披露した慎之輔は多くの人を切ってしまい、磐音との勝負で磐音に切られて死んでしまいます。劇場では描かれていないので解らなかった人もいると思いますが、この3人を消そうとした人物は国家老の文六です。若い3人が藩に戻り「藩政改革」を志していることが気に入らなかった。と原作では描かれています。
磐音の許嫁である奈緒の姉が舞であり、その兄を自分で切ってしまった罪悪感で九州を再び離れ江戸に「浪人」の身として過ごす事となります。
多くの時代劇ヒーローの中でも異質な「居眠り磐音」
「居眠り磐音」の人気はどこにあるのだろうか。今作を観終わった後、考えてみましたが様々な時代劇ヒーローがいる中でも磐音は異質と言えるのではないでしょうか。
時代劇ヒーローは「剣術の腕があり、いつも危険な目に合うが敵うもの無し」という設定が想像出来るのですが例えば市川雷蔵の代表作でもある「眠狂四郎」。誰もが知っている円月殺法で有名な作品ですが眠狂四郎は磐音のように「優しさ」はなく殺意を向けられた相手であれば切る。という残虐性があります。
誰かを守り最強という設定であれば、作風は違えど漫画の「るろうに剣心」が当てはまるのではないでしょうか。普段静かな主人公が戦いとなれば全力で戦い、相手を倒す。そういった意味では「るろうに剣心」と「居眠り磐音」は似ているかも知れません。
殺陣のシーンは「一瞬」だからこその美しさ
「居眠り磐音」の由来は磐音が構える独特な構えからきています。剣を構えた姿がまるで縁先で日向ぼっこをして居眠りしている年寄り猫のようなので「居眠り剣法」と呼ばれています。私が今作で「これは良い」と思ったポイントは無駄な切合などがなく、勝負が一瞬で終わるという事。時間で言うと1分も無いでしょうか。
剣を抜いてから間合いに入り切るまでが一瞬だからこそ、観ていて磐音の強さがよく解る。松坂桃李がインタビューで「感情を乗せていく」立ち回りと言っていますが、派手なチャンバラではなく立ち回りが「会話」になるように意識しました。とコメントしています。
この言葉は映画を観た後だからこそよく解るので、是非劇場で確認してほしいです。
個人的に時代劇映画としては成功の作品だと思う
ストーリーの流れ、江戸の町の再現。どれを取っても今作「居眠り磐音」は成功ではないでしょうか。時代劇ファンの人も納得出来る作品となっている事だと思います。松坂桃李ファンなら大満足出来るのではないでしょうか。
パンフレットでは松坂桃李のインタビューを始め他の俳優陣の方、美術やアクションコーディネーターのインタビューも掲載されています。
劇場特典として「居眠り磐音」の特別版小説が配られていますので欲しい方は早めに劇場に行くことをオススメします。
これにて映画「居眠り磐音」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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