直木賞&本屋大賞のW受賞で一気に話題になった作品
原作の蜜蜂と遠雷は恩田陸の作品で2016年発売された今作は直木賞&本屋大賞のW受賞で一気に話題となりました。その時に私も購入して読んだのですが、想像力をここまで膨らませられる作品だった事に感動しました。私は基本、同じ小説を2度、3度読む事が無いのですが今作だけは2度読み返しました。それだけ印象が大きかったです。
そんな蜜蜂と遠雷が実写映画化となり、視聴してきたのですが簡単に書けば原作未読の人は訳が解らないチンプンカンプンだったのではないでしょうか。今作では4人のピアニストに視点を合わせストーリーが進んでいくのですが、どれも説明不足で「あ~なるほど?」と自分なりに納得するしか無かったはず。
今作の亜夜を演じるのは松岡茉優、明石を松坂桃李、マサルを森崎ウィン、塵を鈴鹿央士。この4名のピアニストが今作のメインとなります。
今回は「解説」を含めて映画の紹介をしていきたいと思います。早速ですが感想とレビューを書いていきたいと思います。
国際コンクールに集まった4人のピアニスト
今作の舞台は芳ヶ江国際ピアノコンクールとなっています。3年毎に開催される今コンクールは優勝者が世界屈指のコンクールである「Sコンクール」で優勝した事がある事から評価が高く様々な国から今大会で優勝する為に練習してきた猛者たちが集まってきています。その中で4人の視点から始まるのですが、まず1人目は「風間塵」。
天才と呼ばれたホフマンが密かに弟子を取り、死ぬ間際に塵をコンクールに出すために推薦状を書いていました。その推薦状の中に「彼を本物のギフトとするか、それとも災厄にしてしまうかは、皆さん、いや我々にかかっている」という言葉に審査員達は見過ごす訳にはいきませんでした。それよりもホフマンが「彼は劇薬」と書いた通り、彼の演奏は独創的で「酷い」とコメントする審査員もいれば「彼を是非2次予選へと」と推すものもいる。彼が今作の重要な役割となっているのですが、それは自分の目で確かめて欲しいと思います。
明石は28歳と今作の出場者の中では最高齢で出場年齢ギリギリとなり今作が最後のコンクール出場となります。明石は楽器店で働きつつ、間の時間を作りピアノの練習をしてきました。今作で彼を取材しているのは高校の同級生でコンクールのドキュメンタリー番組を撮りたいと明石にオファーし承諾します。
明石は「音大生では奏でることが出来ない家庭を持っている自分だからこそ出来る演奏をしたい」とコメントします。家庭を大事にし同じ出演者にも優しい声をかける明石ですが「28歳最後のコンクール」という焦りからか怒ったりする場面もあります。
フランスとペルー人のハーフであるマサル。5歳から7歳まで日本で過ごし、その後はフランスへ。現在はアメリカの音楽大学ジュリアードでもっとも人気のあるピアニスト。そんな彼は今大会の優勝候補であり誰もが期待している存在です。
そんな彼がピアノを始めた理由は日本に滞在していた際「あーちゃん」という少女と会い、その子と一緒にピアノを練習した事がきっかけでした。彼のピアノは完璧主義というのでしょうか。小さなミスも修正し、完璧を求めてしまう傾向がある。それが作品からも伝わってくるのですが、演奏に対する拘りが非常に強く感じ取れました。
最後に亜夜。かつて天才少女と言われた亜夜でしたがコンサートのステージから逃げ出し、約7年間ピアノの舞台から姿を消します。亜夜に関しての説明が省かれている事が多かったのですが13歳の時に彼女のピアノの師でもある母が急死。亜夜がコンサートのステージから逃げ出してしまったのは母が死んで間もない時期のコンサートで、母を失ったショックをその時に感じ逃げ出してしまったのです。
大学進学を考えていた頃に母と音大で同期だった学長である浜崎が現れ名門私立音大学へと亜夜を入学させます。そして20歳になった時、亜夜はコンクールの出場を決める事にしました。亜夜にとって「ピアノ」というのは母との楽しい思い出でもあり、母を失った悲しみを思い出す物でもあります。悩む亜夜にマサルや塵、明石は大きな出会いであり亜夜に一歩踏み出すチャンスを与えてくれるライバルでもあり仲間だと言えます。
キャラクター背景を省略し過ぎて退屈だった人も多いのでは?
各々の置かれてた現状などは大雑把ですが描かれています。しかし亜夜に関してはもう少し説明を加えても良かったように思えました。後は塵に関しても、なぜ彼が凄いピアニストとしてホフマンが選んだのか。映像としての結果論だけではなく、周りの人物が彼の演奏を聞いてどのように感じたのか。そういった描写があれば更に良かったと感じました。
上映中ですが途中で何人か帰る光景が見られましたが、多分それが原因だったのかな。原作を読まないで見てみると大雑把過ぎて退屈に感じた事だと思います。原作を読んだことがある人からすれば今作は面白い出来でしたが未読の人には優しく無いと感じたのは少し残念です。
大スクリーンで見るピアノコンクールと音は最高だった
原作を読んだことがある人にとって今作は面白いと感じる事だと思います。映画館の音響でコンクールの楽曲が流れる時は正直感動でした。小説では想像する事でしか出来ませんでしたが、映像化される事によってより鮮明になりましたね。個人的に2時間という映画枠ではなくドラマ枠で再度「蜜蜂と遠雷」を作成して欲しいです。
パンフレットも購入しましたが、パンフレットが黒+光沢でどの角度から撮影しても上手く撮れなかったので今回は画像はありません。映画を視聴する前だと撮影秘話などでネタバレが含まれていますので、映画視聴後の購読をオススメします。それでは、今回はここまで。最後まで読んで頂きありがとうございました。