戦争を止めようとした若き天才数学者!
今作の「アルキメデスの大戦」は菅田将暉主演映画で「若き天才数学者が戦争を止めようとした」というフレーズがインパクト大だったので実際に観てきました。
時代は日露戦争から約30年後。まだ日本は勝利に浮かれ、自信過剰になっていた時代と言って良いでしょう。時代は昭和7年に「満州国建国」を宣言し、国際連盟が「満州国」を否決し、日本はその決定を不服とし国際連盟を脱退。日本は「世界の孤児」となった。
緊張が高まる中、日本海軍は大正11年に諦結されたワシントン海軍軍縮条約の結果、「海軍休日」と称される新海軍禁止期間が定められた。この条例は艦年20年以上の戦艦に変わる新造戦艦建造が許されており、米英に対し日本が保有している軍艦保有量で強い不満を持っていた海軍は老朽化著しい「金剛」に変わる新造戦艦「金剛代艦」の会議を開きました。それが今回の「アルキメデスの戦い」の舞台となった会議です。
海軍には大艦巨砲主義と航空主兵論があり、山本五十六(舘ひろし)と永野修身(國村隼)は航空主兵論。嶋田(橋爪功)、平山(田中泯)は大艦巨砲主義。どうしても空母を作りたいと思う山本、永野と「海軍は巨大な戦艦を作る事に正義がある」と信じている嶋田と平山。
会議が進むにつれて嶋田、平山が提示した巨大戦艦作成予算に違和感を覚えた山本と永野。自分たちの空母よりも遥かに大きい巨大戦艦が自分たちより安く作れる訳がない。と思った2人は料亭で知り合った若き天才「櫂直」に不正がある。力になってほしいとお願いする事に。
この櫂直という人物は数学の天才と言われ、帝大に入るも諸事情で退学になり米国の大学に行く前に「日本が戦争になる」という山本の言葉が忘れられず不正を暴く手伝いをするのだが、軍記や地位などの問題で渡された資料はほんの数ページ。
軍艦の知識なども一切無い天才が「数字は嘘をつかない」という自分の言葉を信じ、小さい事からコツコツ始めるのですが、少し変わった性格で「美しいものは図りたくなる」という。人の顔であったり、戦艦であったり、机やタンスなど。ありとあらゆる物を図るシーンがあるが、そういったシーンは非常に面白く感じた。櫂直という人物が、いかに真面目か。そして己の正義を貫き通す男なのか。そういった部分が感じられたと思います。
史実から着想を得たエピソードと戦艦大和
映画冒頭で戦艦大和が戦い海に沈んでいくシーンがありますが、このシーンで「阻止してほしい」というストーリーは達成できなかった。と解るのですが、今作の面白いところは「達成出来なかった」にしても櫂直や他のキャラクターが「なぜ戦艦大和を作る事になったのか」という経緯が非常に面白かったです。
冒頭のシーンとラストに登場する大和。冒頭とラストでは砲撃の数や「対空戦」に対する装備が違います。冒頭になると機銃などが加えられています。その後は大艦巨砲主義の考えは外れ、時代は戦艦から航空機へと主力が移っていきます。最強と言われた「大和」、姉妹艦「武蔵」は共に米国空母によって落とされる事となります。
私がこの作品が良いと思った理由ですがVFXを使った大和の美しさ、戦艦長門や東京駅、大和の出港シーンから大和が海に沈むシーン。特に史上最大の大和が海に沈むシーンは圧巻ですね。海に沈んだ大和が再び大きな頭を見せるのですが、あのシーンはインパクト大です。それだけでも見応えバッチリですよ。
「今作りべき映画だと思った」とコメントをした菅田将暉
今作の櫂直を演じた菅田将暉は「戦争というものに触れる機会が少なくなっているし、戦争を体験した人がいなくなってしまう前に、ちゃんと知っておいた方がいいことがある。そのきっかけを作るのは僕らの一つの努めでもあると思います。」とコメントしています。
また山本五十六を演じた舘ひろしは「永遠の0を観た時から山崎監督と一緒に仕事をしたいと思ってた。そんな時にオファーを貰ってその役が山本五十六。本当に大きな役を頂いたので、絶対にやらせて頂きたいと思いました(略)菅田くんの演技がすごかったです。数式を書きながら長いセリフを言う、あんな演技が出来るのかと思って感動しました。」
今回の出演者は大物俳優陣ばかりで緊張したという菅田将暉ですが、舘ひろしは「待ち時間は本当にずっと笑って皆を話した。ここでは言えない話も沢山(笑)」と楽屋で俳優陣同士楽しくされていたようです。
戦争映画ですが笑い有り、涙有りの素晴らしい作品
戦争映画は暗く悲しい作品が多いですが、今作は笑い有り、涙あり。そして最後には驚きの展開があったりと上映時間130分ですが本当に早く感じました。原作はコミックですが、映画も上手にまとめられており、原作ファンの人も納得の出来ではないでしょうか。
パンフレットでは各俳優陣のコメントや今作に登場するVFXのこだわりや見どころなど。細かく掲載されているので映画を観終わった後、是非購入して読んでみてください。

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