又吉直樹原作「火花」を映画化
2015年に発売され第153回芥川賞受賞しお笑いタレントの又吉直樹さんが話題となりました。2016年には徳永役を林遣都さん。神谷役を波岡一喜さんでドラマ化にもなりました。そんな度々話題となる作品ですが、今作は映画化となります。
私も2015年に発売された時に原作を読みましたが芸能人が書いた小説というのは話題作りで内容はあまり面白くないものが多いと思っているのですが、火花は純粋に「面白い作品だった」と思えます。さて、今作のストーリーですが。
まったく芽が出ない芸人・徳永は営業先の熱海の花火大会で先輩芸人・神谷と出会う。「あほんだら」というコンビで常識のワクからはみ出た漫才を披露した神谷の姿に魅了された徳永は、神谷に弟子入りを志願。「俺の伝記を作ってほしい」という条件で神谷はそれを受け入れる。人間味にあふれ、天才的な奇想の持ち主でもある神谷に惹かれる徳永。神谷もそんな徳永に心を開き、2人は毎日のように飲みに出かけては芸の議論を交わし、仕事はほぼないものの充実した日々を送るようになる。しかし、そんな2人の間にいつからかわずかな意識の違いが生まれるようになり……。(映画.com引用)
徳永役を菅田将暉さん。神谷役を桐谷健太さん。この2人がどのような師弟関係の雰囲気を作っていくのか、早速感想とレビューを書いていきたいと思います。
菅田将暉×桐谷健太の演技が作品を更に盛り上げた
この作品の主役とも言える2人。火花のストーリーは小説家「又吉直樹」ではなくお笑いタレント「又吉直樹」しか書けない内容だと思います。
そのお笑いタレントしての苦難や悩みなどを、どのように演技し表現していくのかが重要だと思っていました。内容を観てみるとその心配は無いです。
お二人とも俳優としては抜群の演技力があり、今作の火花では師弟関係ですが、その関係性もスクリーンで伝わってくるほど観ていて違和感は無かったです。
二丁拳銃の川谷修士さんや三浦誠己さんの演技も火花を引き立てるには無くてはならない存在でした。原作を読んで「このストーリーは演技が難しそうだ」と思っていたのですが今回の映画を観て、演技に関しては完成度は非常に高いと思えます。
「火花」を見て何を思うか・・・。
お笑い芸人という職業を夢に見た若者が主人公の作品ですが、火花を読んだ時にお笑い芸人という過酷さ。そして夢を追い続ける主人公の様々な葛藤や苦難というのは、読んでいて胸に刺さるものがありました。
実際にお笑い芸人を目指している人、ミュージシャンでも良いですが夢に向かって走り続ける人でメジャーデビュー出来るのはほんの一握りです。それはどんな職業も言える事なのですが。今回の火花では惜しくも解散してしまう2人ですが10年間追い続けた芸人というのは決して無駄ではなかったと最後のステージで叫びます。
そのシーンは小説でも、劇場でも良いシーンだと思うのですが、私が思う火花は「静かに燃えたり、激しく燃えたり」。徳永と神谷の生き方というのは、まさに火花のような生き方だと感じる部分があります。
この作品を見て何を思うかは各々違うと思いますが1つ言えるのは「2人の新しい人生はまたスタートする」という事です。
監督:板尾創路さんの割には思ったより普通の作品だった
監督は130Rのボケ担当である板尾創路さん。映画作品としては今作が3作目となりますが過去の作品を観ても少し変わった作品が多く、少し変わった雰囲気を入れてくるのかと思っていたのですが想像していたよりも普通に仕上がっていました。
後で調べてみるとドラマ版の火花でも脚本協力をしていたと書いてあったので、納得です。板尾創路さんは「10年という歳月の物語を2時間で収めなくてはならない事に苦労した」とコメントしています。
これは美術セットも言えるのですが同じ部屋でも10年という歳月で少しずつ変わっていく家具などが細かく演出されていた事には驚きました。
原作を読んだ後でも楽しめる作品!
原作を読み「感動した」という声が多かった作品ですが「原作のイメージを壊したくない」という人でも楽しめる作品ではないでしょうか。
少なくとも私はあの火花という小説を2時間でまとめたのは凄いと思います。贅沢を言えば「もっとあのシーンがあれば良かった」と気になった部分もありますが、映画化という意味では成功ではないでしょうか。
今作もパンフレットを購入しました。今作のパンフレットは出演陣のコメントが沢山掲載されています。美術や衣装。そしてプロダクションノートまで。映画「火花」を観終わった後、楽しめる内容です。
特に監督「板尾創路」と撮影「福本淳」の対談は面白かったです。今回も非常に面白いパンフレットだったので是非購入してみてくださいね。
これにて映画「火花」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございました!