近畿地方から送るゆる~いブログ

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近畿地方、主に滋賀県からお送りする雑記ブログです。映画や読書、滋賀県の素敵な観光地からお食事まで様々な事をご紹介したいと思います。

【映画・ネタバレ有】北の桜守を観てきた感想とレビュー-吉永小百合出さん映画120出演作品-

北の三部作「最終章」

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吉永小百合の120作品目となる今作は北の三部作である「北の零年」「北のカナリアたち」の最終章となる「北の桜守」。監督は「おくりびと」「陰陽師」「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶」で知られる滝田洋二郎監督。吉永小百合が母役、そして息子役には堺雅人。さて、気になるストーリーですが。

 

1945年、樺太で家族と暮らしていた日本人女性・江蓮てつは、ソ連軍の侵攻によって土地を追われてしまう。夫が出征し、息子を連れて北海道の網走にたどり着いた彼女は、過酷な環境や貧しさと戦いながら息子を必死に育て上げる。71年、てつの息子・修二郎はビジネスで成功を収め、15年ぶりに網走を訪れる。たったひとりで夫を待ち続け、慎ましい生活を送っていた年老いた母の姿を見た修二郎は、母を引き取り札幌で一緒に暮らすことを決めるが……。(映画.com引用) 

 

ついに「北の~」シリーズが最終章という事もあり過去の作品を観たときは泣いてしまいました。今作はどのような仕上がりになっているのか。早速感想とレビューを書いていきたいと思います。

 

北海道を舞台としたヒューマンドラマ

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舞台は1945年の南樺太地域となっています。日本はまだ戦時中でしたが樺太地方というのは比較的安全だったと言われています。しかしソビエト社会主義共和国連邦軍(ソ連軍)が南樺太を侵略します。

南樺太地方は当時40万人以上の日本人が居住しており、ソ連軍侵攻後に北海道方面への緊急疎開が始まります。そんな南樺太と主人公てつが物語の冒頭ですね。

 

てつの旦那である徳次郎(阿部寛)が旅立つシーンがありますが、それは国民義勇戦闘隊(国民義勇軍)として招集されて行きます。そういった時代背景などを見ると、てつと修二郎が生きた北海道というのは辛かったでしょう。作中でも「貧乏」を思わせるシーンが数多く登場します。

 

そして、てつが度々「思い出せない」と言い記憶を探す旅にでかけますが、そこに待っていたのは悲しく、残酷な結末でした。

 

今までに無い「舞台」を使った撮影方法

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今作は通常の映画とは少し違い「舞台」を使ったシーンが数多く登場しました。

 

通常の演技に加え、舞台演劇が交じるという全く新しい映画の見せ方に驚いたというよりも、戸惑った方が多いのではないでしょうか。舞台演出を手がけたゲラリーノ・サンドロヴィッチは「舞台ではなるべく抽象で見せたほうがギャップとして面白いと思いました。ヘビーな場面もありましたけど、わりと軽やかに出来たと思います。そして樺太の悲惨な出来事を若い人にも受け止めやすくなるのではないだろうか」とコメントしています。

 

私としては確かに表現は悪くなかったと思います。作品の流れがある中で舞台シーンがあるので、そういった組み合わせというのは面白いですね。ただ「解りやすかったか」と言われると難しい。映画やドラマを見慣れていると舞台演出というのは難しく感じる人も多いのではないだろうか。

 

1971年の北海道の雰囲気作りが良かった

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ミネソタ24がある1971年の札幌を舞台にした「狸小路商店街」は東映東京撮影所で作られた巨大なセットでした。1からデザインを始め完成したのは2ヶ月後の事。

 

またミネソタ24日本第一号店。事務所の社長室では70年台の壁紙を使ったり、装飾など70年台を意識した小物はなんと400種類以上。1から作ったものから昔とあまり変わっていないモノを探したり。一番大変だったのは「ジュースの缶を集めるのに苦労した」と答えています。

 

当時流行った仮面ライダー1号のイラストがついた水筒やそろばんが店頭に並んでいたりと70年台の雰囲気が伝わっていてよかったと思います。

 

15年の時を経てたどり着く「親子愛」

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今作は戦中、戦後を舞台にしたシーンが数多くありますが決して「辛い」「苦しい」というシーンばかりではないです。主人公てつと幼き修二郎のシーンは辛いながらも、周りに支えられるシーンもあれば、今では決して味わう事が出来ないであろう過酷な場面もあります。

 

15年という時はお互いに「忘れてはいけないが、思い出してはいけない過去」を突きつけようとします。今作のラストはそんな親子がたどり着いた先にある「愛」または「絆」を感じる事が出来ました。

 

今作を観て自分と重ねた人もいるのではないでしょうか。「親子」という切っても切れない関係がいかに大事なものなのか。改めて感じることが出来る作品となっています。

 

シリーズ最終章に相応しい作品に仕上がっています!

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北の大地北海道を舞台にし撮影も北海道の稚内や網走、久遠郡など幅広い場所で撮影されており厳しい冬の中にある美しさ、そして春には自然豊かな北海道の姿へと姿を変える。来年2019年で北海道と命名されて150年を迎えます。

 

そんな北海道で撮影された北の零年、北のカナリアたち。そして北の桜守。吉永小百合さんの出演作品の中でも間違いなく名作を呼ばれるシリーズになったのではないでしょうか。

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今作もパンフレットを購入しました。各出演陣のコメント、そして撮影場所。美術スタッフや監督のコメントなど映画を観たあと楽しめるコンテンツが沢山掲載されています。是非、映画を観終わったあと買ってみてくださいね。

 

これにて映画「北の桜守」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。

映画「北の桜守」オリジナルサウンドトラック

映画「北の桜守」オリジナルサウンドトラック