近畿地方から送るゆる~いブログ

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近畿地方、主に滋賀県からお送りする雑記ブログです。映画や読書、滋賀県の素敵な観光地からお食事まで様々な事をご紹介したいと思います。

【映画・ネタバレ有】人気戯曲「焼肉ドラゴン」が大泉洋×井上真央×真木よう子で映画化されたので観てきた感想とレビュー!

鄭 義信の人気戯曲を映画化!

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映画「血と骨」の脚本家と話題になった鄭 義信が長編映画初監督作品となります。自身の大人気戯曲である今作「焼肉ドラゴン」を映画化に選びました。今作は日本の新国立劇場と韓国の芸術の殿堂によるコラボ作品で、韓国の演出家である梁正雄(ヤン・ジョンウン)の演出により2008年、両国で上映されました。

 

韓国での上映タイトルは「焼肉ドラゴン 龍吉さんちのホルモン屋」となっています。今作は大阪万博の開発にともなう変化を題材とし「にほんの共同体そのものが崩壊を始めた時代」とし舞台を1970年前後としています。鄭義信は今作を約1年かけ制作し、当時ヒットしていた「ALWAYS 三丁目の夕日」のあんテーゼとする事を意識したようです。さて、気になるストーリーですが。

 

高度経済成長と大阪万博に沸く1970年代。関西のとある地方都市で小さな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む夫婦・龍吉と英順は、静花、梨花、美花の3姉妹と長男・時生の6人暮らし。龍吉は戦争で故郷と左腕を奪われながらも常に明るく前向きに生きており、店内は静花の幼なじみの哲男ら常連客たちでいつも賑わっていた。強い絆で結ばれた彼らだったが、やがて時代の波が押し寄せ……。(映画.com引用) 

 

笑い有り、涙有りと話題の今作。どのような日本の俳優陣だけではなく韓国からはキム・サンホ、イ・ジョンウン、ハン・ドン・ギュ、イム・ヒチョルなど豪華メンバーとなっているので楽しみですね。では、早速ですが感想とレビューを書いていきたいと思います。

 

前半はネガティブシーンが多く、後半はシリアスで感動的

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龍吉(キム・サンホ)が経営する焼肉ドラゴンには様々な人が毎日食べ、飲み。笑い、喧嘩したりと毎日がドンチャン騒ぎとなっています。龍吉と英順(イ・ジョンウン)の三姉妹である長女の静花(真木よう子)、次女・梨花(井上真央)、三女・美花(桜庭ななみ)、末っ子・時生(大江晋平)。そして次女と夫婦である哲男(大泉洋)、三女と不倫関係である長谷川(大谷亮平)。次女に惚れる呉日白(イム・ヒチョル)に長女にアタックする尹大樹(ハン・ドンギュ)。

 

様々な人間模様がある焼肉ドラゴンだが、前半は哲男と次女の夫婦喧嘩から始まり、次女と長女の喧嘩。そして末っ子・時生が学校で虐められたりなど、様々なシーンが映し出される。哲男は新しい仕事を見つけては喧嘩をし辞めてしまう、

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時代は大阪万博開催前という事もあり高度成長期真っ只中。働き口は沢山あるが哲男はプライドが高く「自分に合った仕事がある」「自分は大学を出ているのに、下働きなんて」というセリフが前半目立つ事となる。

 

前半は哲男の駄目な姿が目立つシーンが多いのですが、後半になるにつれて末っ子である「時生」へと視点が変わる事でシリアスなシーンへと変わっていく。

 

今でも無くなる事はない「在日イジメ」

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後半は在日イジメ問題や立ち退き問題などが描かれシリアスな展開へと発展していく。前半で時生が「あー」と叫ぶだけのシーンが多かったのですが、その理由が後半になり明らかになります。これは昔だけの問題ではなく、現在でもそういったイジメがあるのは事実。

 

日本だけの問題ではなく、世界共通の問題と言えますが時生の「逃げ出したい」という気持ちと、それに賛同する英順。それに反対し「俺たちは日本でしか生きていけないんだ」と学校を辞めさせようとしない龍吉。

 

家族の考え方は違いますが、龍吉には自分のようになって欲しくないという強い気持ちがある事が後半に解ります。今作は韓国側目線で作られている私個人としては珍しく、そして興味がある作品だと感じたので観てきましたが、映画館に行って正解だと思える作品でした。

 

日韓両方の役者が共演したからこそ良作になったと思える

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日本の俳優・女優陣だけではなく日韓両方の役者が共演し一つの作品を作ったというのは素晴らしいことだと思います。哲男を演じた大泉洋も「在日韓国人の方々の苦難の歴史は計り知れない。それをどこまで表現出来たのかは正直解らないです」とコメントしています。

 

龍吉を演じたキム・サンホは「後半に3分ほどのロングテイクシーンがあり、そのワンシーンを6時間にわたって撮影したのですが、終わった瞬間、撮影監督をはじめスタッフさんたちと抱き合いながら喚声を上げていました。あの瞬間は、俳優として最高の瞬間であり、永遠に忘れられない瞬間です」と語っています。

 

時生を演じた大江晋平は今作が映画デビュー作品となっています。新人俳優ながらも、その存在感は大きく今後の活躍に注目したい人物ですね。

 

たとえ昨日がどんなでも明日はえぇ日になる

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龍吉が「たとえ昨日がどんなでも、明日はえぇ日になる」というセリフがこの映画のまとめとして、これ以上にない最高のセリフだと感じました。各々の道に旅立つ時も「血は違っても、私達は家族だからね」と英順のセリフにはウルっとしましたね。

 

ネットでは「万引き家族」以上に荒れていますが、そこまで嫌悪感を抱くものだろうか。批判している人を観ると「あ、この人は映画館で観てないな。予告編だけで判断しているだろう」と思う人も中にはいらっしゃいます。

 

でも、個人的に批判するのであれば観てからでも良い気がする。観て「今作は最悪だ」と思うのは仕方ない。本当に賛否分かれる作品だと思います。

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パンフレットでは各キャストがコメントしていますが、1人ひとり今作に対する思いがとても深いので、是非パンフレットを購入して読んでみてください。

 

これにて映画「焼肉ドラゴン」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んでいただき有難うございました。

焼肉ドラゴン (角川文庫)

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