近畿地方から送るゆる~いブログ

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近畿地方、主に滋賀県からお送りする雑記ブログです。映画や読書、滋賀県の素敵な観光地からお食事まで様々な事をご紹介したいと思います。

【映画・ネタバレ有】ホームコメディの続編「家族はつらいよ2」を観てきた感想とレビュー-前作よりも更にパワーアップして帰ってきたホームコメディ映画-

山田洋次監督最新作「家族はつらいよ2」

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山田洋次監督といえば日本を代表する人情喜劇シリーズ「男はつらいよ」の監督と知られ、その他にも学校シリーズや東京家族など数々のヒット作を生み出している名監督です。前作の「家族はつらいよ」は山田洋次監督の約21年ぶりの喜劇映画として話題になり私も観ましたが非常に面白かった。前作は熟年離婚がテーマとなっており、まさに喜劇映画と相応しい作品となっています。喜怒哀楽がしっかり伝わってくる映画だったのではないでしょうか。

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前作の「家族はつらいよ」と同じキャストになります。今回はどのような「喜劇」が待っているのか。早速レビューを書いていきたいと思います。今回注目すべきキャストは丸太吟平(小林稔侍)と平田庄太(妻夫木聡)、平田憲子(蒼井優)、刑事(劇団ひとり)です。

「喜怒哀楽」の「哀」をテーマにした今作

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今回は「無縁社会」をテーマにしています。無縁社会というのは「単身世帯が増え、人と人との関係が希薄になりつつある日本の社会の一面」の事をいいます。今回の冒頭は「平田周造(橋爪功)が免許を返上しないのか」というテーマから始まり様々な人を巻き込んでいく姿に笑いましたが後半になるにつれて今回のテーマである「無縁社会」が出てきます。周造が丸太吟平(小林稔侍)をたまたま見つけた時に彼の姿はカンカン照りの中、工事現場で汗をかきながら誘導棒を振っていました。周造の同級生で73歳です。気の毒に思った周造は同級生であり友人の向井(有薗芳記)らと同窓会を開くことに。離婚し娘と別れ、事業の失敗、借金。そして数十年間ずっと小さい部屋で一人暮らしという現実。ただ同級生に会った、その日は大好きなお酒、銀杏を食べて楽しい一夜を過ごす事になり「本当に最高の日だった」という言葉を残し亡くなります。

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吟平が亡くなった事で娘や元奥さんとも連絡が取れず、1人だけ取れた兄弟も「借金を背負った時に縁を切ったので関係ない」と切られてしまいます。身よりもない吟平の火葬は福祉で職員1人だけに見送られる事になるという出来事を前に平田憲子と平田庄太は火葬場まで行く事を決意します。平田家で起こった出来事という事もあり家族で見送る事になるのですが、その姿は「無縁社会」の真実が描かれています。

 

「死」を喜劇にする難しさ

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今回の「家族はつらいよ2」で山田洋次監督がこのようなコメントをしています。

喜劇映画では「死」を描くことはタブーだけども、あえてタブーに挑み、その「死」がもたらす、滑稽でバカバカしい大騒ぎを丁寧に描いてみようと思います。観客は笑いながら、大笑いしながら、格差社会の重苦さにもふと思いを馴せてくれればいいなと思っています。(パンフレット参照)

 映画で「死」をテーマにしている様々な作品を思い出すと「死」をテーマにしている多くの作品は「家族愛」であったり「生命」であったり。感動の余韻に浸りながら終わりを迎える作品が多いのですが今回の「家族はつらいよ2」はまさに喜劇。「死」を描いているのですが、感動の後に笑いがあるという非常に面白い作品に出来上がっていると思います。人の「死」というのは悲しい出来事で私も火葬シーンは涙が出たのですが、ラストに向かっていく時には「面白かった、まさに喜劇映画」という感想になっているのです。こういった映画は非常に珍しいですね。

 

前作より間違いなく面白い出来に仕上がっている!

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前作の「家族はつらいよ」は喜怒哀楽がしっかり伝ってくると冒頭で書きましたが、今回の映画は前作以上に「喜怒哀楽」の感情表現がしっかり伝わってくる作品に出来上がっていると感じました。特に「無縁社会」と「哀」というのは切っても切り離せない関係ではないでしょうか。「自分には関係ない」と思っていても、今後どうなるか解りません。近年、日本では身元すら判明しないまま火葬され無縁墓地に送られる人が急増しています。そういった問題もこの映画を観た観客の方が感じ取れれば良いなと思います。

 

パンフレットですが各キャストのトークや山田洋次監督のコメントも勿論載っています。このパンフレットの面白いのは「家族はつらいよ2」に学ぶ「家族問題解決マニュアル」という部分。「介護問題」「旧友再会」「家族会議」「頑固親父と上手に付き合うために女性におくるストレス解消方法」「緊急特集!こんなおじさんになりたくない!」など平田家から学ぶ家族円満の極意が詰まっています。山田洋次監督の「家族はつらいよ2」は前作同様に非常に「笑える」作品だったと私は思いました。