渡辺歩監督の「怪獣の子供」を観てきた
五十嵐大介の原作漫画「怪獣の子供」が映画化されると聞いた時は正直どうなるかと思いました。原作を読んだことがある人はきっと「あの漫画を約2時間で収める事が出来るのだろうか」という不安があったのではないでしょうか。
原作は第38回日本漫画家協会賞優秀賞、第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。内容を簡単に書けば「命の物語」と言うのでしょうか。優しい内容ではないですが、これがアニメ映画化されると聞いた時は観に行くしか無い!と思いました。
主人公、琉花の声を演じるのが芦田愛菜。その他に渡辺徹、蒼井優、稲垣吾郎、森崎ウィン、石橋陽彩、浦上晟周など豪華な面々となっているので、この点も期待大ですね。では、早速ですが感想とレビューを書いていきたいと思います。
主人公である琉花を中心に置いたストーリー構成
「怪獣の子供」は琉花、空、海と3人の子どもたちを中心に後々起こる「誕生祭」に向けてストーリーが進んでいくのですが、上記でも少し触れた通り怪獣の子供は到底2時間で語れるようなストーリーではないという事。それならばと渡辺歩監督が導き出した答えは「琉花を中心にしたストーリーにする」というもの。
夏休みが始まり、琉花が夏休みの間何を得て、何を感じたのか。それが今作のテーマとなっています。だからか、大事な怪獣の子供に登場するキーワードが省かれているので、原作を観ていない人は「え?どういう事?」と思ったことかも知れません。
大事なキーワードが6割程省かれていると言っても過言ではない構成となっていますが、琉花がラスト何を感じているのか。彼女は成長したのだろうか。それが解った人は今作を観て後々原作を読んでもスッキリするのではないでしょうか。
原作と映画版ではラストが少し違うのも、そういった意味があるので、これから観る人は是非その点に注意して見てほしいです。
海獣の子供が解らない人向けの解説
怪獣の怪獣のストーリーを説明するというのは非常に難しい。映画でも登場するセリフがあるのですが「宇宙というのは暗黒物質が90%あり、残り10%星々であったり自分たちが住んでいる地球などがある。人間が見えている世界なんてちっぽけなんだよ」。
このセリフの通り人間が目視したり理解したと思っている部分は表面上だけで、すべて解説出来る訳がない。それは命にも言える。怪獣の子供で度々登場する「星の星々の海は産みの親、人は乳房、天は遊び場」という言葉。映画では省かれていましたが人魂と呼ばれる隕石が振ってきた後、その隕石は海が持っていました。
その隕石というのは「宇宙支配神の精液」で隕石と海が混じり合う事で生命が誕生する。怪獣の子供である海と空の役割というのは言わば卵巣のようなもので、琉花の家計は代々海女の仕事をしており、海に携わるもの。ゲストとして呼ばれたという設定があります。
鯨が出していた周波数は星が死んでいく事であり、死んでいく魂があれば、また生まれる魂もある。生まれる魂が誕生祭であり、地球上の生物はそれに惹かれ集まってくる。これが私個人的に感じた内容なのですが、原作を改めて読んでも難しいです。
しかし「命を次の世代へと引き継ぐ」というメッセージは今作のラストで上手に描かれているので、それは素晴らしいと感じました。
今作の主題歌を歌う米津玄師の「海の幽霊」が大ヒットの予感
またたく間に1500万再生を記録し話題となった「海の幽霊」。実は劇場に観に行った際に感じたことは怪獣の子供を視聴している客層が普段のアニメ映画とは違うと思いました。昨年大ヒットした「Lemon」で米津玄師を知った人が、今回のMVを観た際「観に行ってみよう」となったかも知れません。
MVを観て映画を観てみようというお客さんが多いというのは、それだけ今作に関心を持っている人が通常よりも多いという事なので良い事ですね。
エンディングテーマでこの曲が流れた時はMVをYouTubeで観た後でも鳥肌が立ちましたね。映画館のスピーカーで歌を聞いて感動したのは久しぶりです。映画を視聴した後、この曲を聞くと映画の世界観が表現されていて、改めて米津玄師の凄さに驚きました。
今年のアニメーション部門受賞候補作品だと感じた
今年も数多くのアニメーション映画が公開されますが候補として今作の「怪獣の子供」か新海誠監督の「天気の子」の2択だと思っているのですが改めて視聴してみて、候補作品だと確信しました。
パンフレットも購入しましたが、通常のパンフレットと違い相当大きい。その分通常版ですが1000円以上の値段となっています。しかし内容は素晴らしい。今作の魅力である「映像美」をパンフレットでも感じることが出来るので、映画を視聴した後じっくり読むことをオススメします。
これにて映画「怪獣の子供」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んで頂きありがとうございます。
(次に観た映画)