森見登美彦の小説が再び映画化
森見登美彦と言えば「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」など多くのヒット作を夜に送り出している小説家です。今作「ペンギン・ハイウェイ」は2010年日本SF大賞受賞した作品で「スタジオコロリド」の初の長編作品でもあります。
日本公開に先駆けカナダ・モントリオールの第22回ファンタジア国際映画祭にて最優秀アニメーション賞である今敏賞を獲得しました。予告編で観た際、その世界観とデザインなどが気になっており、観に行きたいと思っていた作品なので早速ですが、観てきました。気になるストーリーですが。
毎日学んだことをノートに記録している勉強家の小学4年生アオヤマ君は、通っている歯医者のお姉さんと仲良し。お姉さんも、ちょっと生意気で大人びたアオヤマ君をかわいがっていた。ある日、彼らの暮らす街に突然ペンギンが現れる。海もないただの住宅地になぜペンギンが現れたのか。アオヤマ君は謎を解くべく研究を始めるが、そんな折、お姉さんが投げ捨てたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃する。(映画.com引用)
主人公の男の子を北香那。お姉さん役に蒼井優、そして友人役に釘宮理恵、潘めぐみ、福井美樹と声優に加え、西島秀俊や竹中直人など俳優陣も出演しています。早速ですが、感想とレビューを書いていきたいと思います。
天才少年とおっぱいの大きなお姉さん
主人公のアオヤマくんは天才少年と呼ぶに相応しい人間。というべきか大人びてはいるが背伸びして強がっている小学4年生の男の子。決して嫌味という感じではなく気になったことは研究して結論を出さないと気がすまないタイプの人間ですね。
そんなアオヤマくんが憧れて、恋をしている歯医者のお姉さん。この2人のやり取りに最後まで可愛く、切なく。そんなストーリーが本当にこの夏に相応しい内容だったと思います。
小学4年生の天才少年ですが「お姉さんのおっぱいは、お母さんのおっぱいとは違いドキドキする」という思春期らしい思考をしたり、天才なんですが年相応、もしくは少し変態に近いような「一日30分おっぱいを考えている」と発言したり、アオヤマくんには悩みが沢山あるようです。
そんな生意気で少し変態なアオヤマくんの事をほっとけないお姉さんは優しく、明るく。少年からすれば憧れとも言える綺麗なお姉さん。2人が住む街に突如ペンギンが現れた事により2人の関係が急に変わる事になるとは・・・。最後まで目が離せませんでした。
日本SF大賞を受賞した通り、謎が謎を呼ぶ作品
1つ解決したと思えば、また新たな謎が出てくる。私は森見登美彦の世界観が大好きで以前劇場で公開された「夜は短し歩けよう乙女」も観てきたのですが今作のペンギン・ハイウェイも世界観が綺麗で、そして謎が多い。
しかも最後までモヤモヤして終わるような作品ではなく、最後は「本当に良いストーリーだった」と余韻に浸ることが出来る内容となっている。主題歌である宇多田ヒカルの「Good Night」が主題歌となっている為、作品を観た後聞くと更に良い曲になっています。
今作「ペンギン・ハイウェイ」に対する森見登美彦の着想
森見登美彦が今作「ペンギン・ハイウェイ」はどのような経緯で着想したのか?という質問に対し少し興味深かったのでご紹介したいと思います。
もともと自分が少年時代を過ごしていた新興住宅地や、その頃に夢想していたことを小説にしたいと思っていました。そんなときドキュメンタリー番組で「ペンギン・ハイウェイ」という言葉を知って「郊外の住宅地にペンギンが現れたら」という設定を思いつきそこから想像を膨らませていきました。印象深い事と言えば雑誌に連載していたときには全然違うストーリーだったことです。連載ではうまく書けず、大きく書き直して完成させました。(ペンギン・ハイウェイ パンフレットより)
ドキュメンタリー番組を観ていて「ペンギン・ハイウェイ」を思いついたというのは、流石というべきか。上記でも書いた通り、謎が謎を呼び最後になるまで解らない内容となっているのは観ていて飽きないですね。例えばSF小説を観ていて中盤で謎を解いてしまうと、その小説の面白さは半減してしまう。
しかしペンギン・ハイウェイでは1つ謎が解けて、予想し「これが答えだろう」と思っていても実はその奥に謎があったり。本当に上手だなと思いました。
こんなに面白い作品なのに週末動員数10位!?本当にオススメの作品
銀魂が1位を獲得し邦画作品が盛り上がっていますが、ペンギン・ハイウェイは10位スタートと思いの外、あまり盛り上がっていませんね。私個人的な感想を言えば素直に面白い作品となっています。
夏休みも終わりに近づいていますが、内容としては子供でも楽しめる作品となっています。大人目線で観ても面白い作品なので親子で観てほしい作品だと思います。パンフレットでは出演陣のコメントやアオヤマくんが劇中で書いていたノートなど。映画を観た後楽しめるコンテンツが沢山掲載されているので、是非ご覧ください。
これにて映画「ペンギン・ハイウェイ」の感想とレビューを終わりたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございます。
- 作者: 森見登美彦,くまおり純
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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