2017年5月6日から公開された「追憶」
降旗康男監督で「少年H」から2年ぶりの作品。監督とキャメラマン木村大作は高倉健主演映画「鉄道員」など数々の映画を制作した黄金コンビで今作で16作品目となります。今作の「追憶」のあらすじですが。
1992年、冬の能登半島。13歳の四方篤は、親に捨てられた同じような境遇の田所啓太、川端悟と共に、軽食喫茶「ゆきわりそう」を営む仁科涼子(安藤サクラ)、山形光男(吉岡秀隆)を慕い、家族のような日々を送っていた。しかしある事件をきっかけに、幸せだった日々は突然終わりを告げ、少年たちは離れ離れになってしまう……。あれから25年、刑事となった四方篤は、あの日二度と会わないと誓った川端悟と再会を果たす。やがて捜査が進むにつれ、ある容疑者が浮かび上がるが・・・(MovieWalker引用)
タイトルになっている「追憶」という言葉は「過去を振り返って偲ぶ」という意味がありこの映画には「過去」が重要な意味を持っています。少年時代を追憶するという意味などに使われますが「過去」がどのように重要かを後ほど書いてみたいと思います。
主演:岡田准一の他も豪華俳優・女優陣
やはり何と言っても豪華俳優・女優のキャストが素晴らしい。主演は岡田准一。そして小栗旬、柄本佑、長澤まさみ、木村文乃、西田尚美、安藤サクラ、吉岡秀隆。監督のインタビューによれば岡田准一と安藤サクラはすぐ決定したそうです。東宝から岡田准一を主役にしたいという話が出た時に監督である降旗康男は「映画の中心になっていただける俳優さんだと思っていたので文句なしだった」と答えています。そして今作の涼子役である安藤サクラもすぐ決定したと語っています。涼子のキャスティングの際に「マリア様のような顔をしている女優さんは誰か」と思った時に安藤サクラが浮かんだといいます。作品を観るとその理由が納得出来ます。全体を通して彼女から伝わってくる優しい表情、そしてオーラーがまさにマリア様と言われると納得出来ると思います。
「追憶」を観た感想
もし自分が25年前。忘れたくても忘れないような辛い記憶と共に過ごせるか。と言われると過ごすことは出来ないでしょう。特にこの追憶で描かれているような記憶であれば尚更の事。自分の罪から刑事になる事を選んだ篤、過去と向き合いながら大切な何かを隠す啓太、生活が苦しいながらも家族を大切にする悟。それぞれ25年前の罪を背負って懸命に生きている姿はとても人間らしい。25年経ってそれぞれの家庭を持ちながらも涼子に対する思いが特別だと感じるシーンがいくつか登場する。
例えば啓太が軽食喫茶「ゆきわりそう」跡に自分の新居を建てるという話が登場するがそれを観た当初は「涼子の記憶を大切にしたいのか」と思ったが映画を観終わって後ではそれだけではないという事に気付かされる。今回は主役である篤が25年ぶりに故郷に帰る事になるが止まっていた歯車が少しずつ動き出しているように思えた。それは映画の序盤~中盤~終盤と話が進んでいくにつれて止まっていた歯車がサビを落としつつ少しづつ動き出すように篤の行動、表情が変わっていくのが観て解る。悟は映画中盤で何者かに殺害されてしまうが、家族を思う気持ちは強いように思える。それは経営が苦しく啓太にお金を借りに行くシーンがあるが、その理由も映画終盤で解る事になる。25年という歳月から同じ地に集まった昔の友人はそれぞれの人生を歩みながらも「涼子」という共通点で物語が進んでいくのが素晴らしかった。木村大作、降旗康男の作品ここに有りと言える映画で黄金コンビの次の作品も期待出来る映画となっています。
パンフレット内容も豪華!今週末は観にいくべき!
追憶のパンフレットですが各キャスト陣のインタビューは勿論の事、監督である降旗康男のインタビュー、木村大作のインタビューは必見です。黄金コンビと言われる理由が解るインタビュー内容でお互いの事を信用しあってるからこそ言える言葉もありました。また映画の撮影秘話も書かれています。
プロファクションノートとして企画からクランクアップまでの話が載っているのが良かったです。木村大作の撮影技術や方法、そして監督の降旗康男とのコンビネーションはインタビューよりはこのプロファクションノートを見れば解るかも知れません。これにて映画「追憶」の感想とレビューを終わりたいと思います。