福山雅治主演映画「三度目の殺人」
今回の映画は完全オリジナルストーリーとなる最近では珍しい映画となります。主演は福山雅治×役所広司による心理サスペンス映画。
2013年公開された是枝裕和監督の「そして父になる」以来となる福山雅治×是枝裕和監督コンビとなります。
勝つことにこだわる弁護士・重盛は、殺人の前科がある男・三隅の弁護を仕方なく担当することに。解雇された工場の社長を殺害して死体に火をつけた容疑で起訴されている三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。しかし三隅の動機はいまいち釈然とせず、重盛は面会を重ねるたびに、本当に彼が殺したのか確信が持てなくなっていく。(映画.com引用)
では、早速感想とレビューを書いていきたいと思います。
福山雅治×役所広司のW主演が良い味を出している
今回のストーリーは「法廷心理サスペンス」となっています。勝ちにこだわる弁護士である重盛(福山雅治)は序盤では、死刑が確実となっている被告人である三隅(役所広司)を無期懲役に減刑出来ないかと考えている。
一方、三隅は動機がコロコロ変わり何が本当か解らなくなっていく。そんな男に感情を左右されながらも重盛は最後まで三隅と向き合おうとする。
この映画を通して2人は実にいい味を出していると言っても良い。福山雅治さん、役所広司さん共に個性派俳優と思うのですが、その2人の役に劇場で観ている人は「次の展開はどうなっていくのか」と引き込まれたのではないでしょうか。
広瀬すずさん演じる「山中咲江」がこの映画を更に引き立てる
この映画で重要なキーパーソンといえる山中咲江を演じた広瀬すずさん。映画を観ていると序盤から父親を殺されたにしては、悲しそうな表情をしない少女を演じていた。
その理由はストーリーが進むにつれて解っていくが、少女だからこそ純粋で、そして残酷な表情を演じた広瀬すずさんは一言で書くのであれば「天才」と言えるのではないでしょうか。
この映画の主演は福山雅治さん×役所広司さんには違いないのですが、この映画を語る際に広瀬すずさんの存在は無くてはならないものだと思います。
この映画のタイトルでもある「三度目」の殺人とは何のだろうか
この映画のタイトルにもなっている「三度目の殺人」。この”三度目”というのは一体どういう事なのだろうか。解説をしていきます。まず一度目は三隅が北海道で犯した殺人事件。それはヤクザのような高金利で金貸しをしていた男を殺したものでした。
2度目の殺人は今回の咲江の父親を殺した殺人事件。これは今回の映画のメインとなる殺人で動機がコロコロ変わりますが真実は様々な見方があります。食品偽装をし、それを隠すためにお金を振り込んだこと。咲江が父親にレイプされている事を知った事。
3度目の殺人は「今回の犯行は私は関与していません。全くの無実です」という三隅の一言が死刑確定に繋がったのですが、これは咲江が法廷で三隅を減刑にする為に「父親にレイプされていた事、食品偽装していたこと」などを証言しようとしていました。
それを知った三隅は「全くの無実です」という発言により死刑になる事が確定したのですが咲江を守った事になります。三度目の殺人は真実を隠すための殺人と言えますね。
ストーリーで6匹いたカナリアのうち1匹は逃したと三隅が語るシーンがありますが、その1匹というのは咲江の事だとラストで解る事になります。
スッキリするストーリーとはいえないが、考えさせられる
死刑確定で終わる為、スッキリする展開ではないと言えます。しかし真実を求める重盛に対し三隅は「では、質問なのですが」と度々質問するシーンがあるのですが、映画のシーン1つ1つが考えさせるものでした。
例えば1度目の殺人である北海道で高利貸の男を殺害した三隅。殺人という罪を背負う事になった三隅でしたが、当時の事を知る男性は「あの高利貸に苦しめられていた人物が多いのも事実」と語っています。
2度目の殺人では咲江は口に出してはいませんが「心のどこかで父親を殺して欲しいと思っていたのかも知れない」という発言もあります。
殺人自体に正義は一切ありませんが、三隅が考えていたのは「死んで当然の人間はいる」という事なのではないでしょうか。正義感が強い為、結果殺人という方法でしか救えないと判断した三隅は映画を通してみると、最後までどこか悲しい表情をした人物だったと思います。
ストーリーはかなり優秀!このサスペンス映画に誰もが驚く!
映画を観終わった後に「スッキリしない」という感情を抱くと思いますが、ブログを書きながらまとめてみると非常に面白いストーリーだと思いました。
パンフレットでは各出演者のインタビューがあります。自分が演じたキャラクターに対する思いなどが掲載されているので「あのシーンはこのような思いで演じていたのか」と解る内容もありますね。面白いのが法律事務所に所属している(弁護士、元検事)の人のコメントがあります。今回の法廷に関するストーリーの解説をしているので、気になる方は是非買ってみてくださいね。
きっと友人と観に行っても、それぞれの意見が食い違う場面も多い作品だと思います。しかしそれは言い方を変えれば何度観ても飽きない作品と言えるのではないでしょうか。そういった意味では非常に優秀な作品だと思いました。