2017年マンガ大賞受賞作品「響~小説家になる方法~」
2017年08月20日更新
3月28日に発表された橋本光晴の「響~小説家になる方法~」が見事2017年マンガ大賞を受賞しました。この作品は主人公である鮎喰響(あゆくいひびき)が文芸編集部の新人賞あてに自分の作品を応募した事がきっけに注目されるようになっていきます。
昨年受賞した「ゴールデンカムイ」。一昨年は「かくかくしかじか」と個人的に新しい漫画に出会えるきっかけであるマンガ大賞なのですが今作も前情報を一切入れないので一気に発売している5巻まで一気に購入してきました。
4巻の表紙に惹かれたのですが、とにかく「小説家になる方法」という言葉が気になりました。今まで漫画家を目指したり、料理人を目指したりする漫画はあったにしても小説家を題材にした作品というのは非常に珍しいですね。
さて、買ってから一気に5巻まで読んだので感想を書いていきたいと思います。
主人公の不器用な性格が興味を引き立てられる
主人公の鮎喰響はとにかく不器用な性格。いやそれは5巻を通して読んでみると不器用という性格を通り越しているのかも知れないとすら感じる。
主人公の少女は15歳ながらもしっかりとした考えを持っていて、その考えに素直なんだと思う。その素直さが時に言葉であったり、暴力であったり。そういった不器用さが何とも人間身溢れるキャラだと思った。
15歳ながらにして圧倒的な才能に周りの同級生や上級生、大人たちまで巻き込んでいきながらも自分の考えを曲げずに生きていけるというのはまさに「天才」というべきなのでしょう。内容もスラスラと読めて難しい漫画ではないので非常に面白かったです。
小説をテーマにしていますが、あくまでも「小説家になる方法」という事を題材にしてあるので「文法はこうあるべき」「小説はどのように書くのか」という漫画ではないので気楽に読む事が出来るのも読んでいて楽でした。他のマンガ大賞を受賞した「金の国、水の国」や「ゴールデンゴールド」「波よ聞いてくれ」など気になりますね。
「ダンジョン飯」や「ハイスコアガール」「約束のネバーランド」は読んだことがありますがどれも良い作品で選ばれた事に納得です。まだまだ面白い漫画が沢山ありますね。
追記8月20日!6巻、7巻が発売中!
6巻では響の新しい学校生活が始まります。2年生になり文芸部にはリカちゃん目当ての後輩たちが集まるなど、新しい学校生活は慌ただしく始まります。そんな時に花代子ちゃんが投稿した本がNF文庫賞新人賞大賞を取ってしまう。その大賞を取った小説は響が書いた本をそのまま送ってしまった内容で花代子ちゃんは困ってしまう。
状況を聞いた響は出版社に行きディレクターとやり取りをして帰るが帰り際に花代子ちゃんが「待って響ちゃん」という言葉でディレクターは「あの響ではないかと」と疑いの目線を向ける事となる。
7巻では疑った響はあの響に違いないと確信に迫ってくる。そんな中、響たちは文芸部合宿という事で夏休み明けに作成する部誌の小説を書く為に別荘へと合宿を行う。そんな中、後輩に「アノ響」だとバレてしまう事になるが、何とか場を収めることとなる。
漫画だからと言って読まないのは損!社会人にもオススメ。
「響~小説家になる方法~」を読んでいて感じたのは社会人になり自分の考えを言わなくなってしまった大人が読むと「一度は自分もこのように思ったことがある」と感じるシーンがいくつかあると思います。漫画ながらも、とにかく人間味溢れる漫画は大人向けと言っても良いのではないでしょうか。社会に出て働いている人の方がこの漫画は更に面白いと感じるかも知れませんね。