太宰治原作「グッド・バイ」を元に作成した作品
太宰治の「グッド・バイ」は太宰治が最後に書いていた小説で未完のまま亡くなった為、絶筆となっていましたが後にドラマ化、映画化と映像化されてきましたが、今回は大泉洋×小池栄子主演による「人生喜劇」として2020年映画化となりました。
序盤で太宰治が亡くなった為、オリジナル要素が強いのですがオリジナル要素を少し紹介しますと妻と子供がいる田島は雑誌編集長として東京で仕事をし、妻・子供は妻実家に住まわせ、自分は東京で単身で仕事をしています。しかし編集長というのは世間向けの顔で裏では闇商売をし儲け、愛人を10人近く養っています。
そんな田島はある日、雑誌の編集に専念しようと考え闇商売からも足を洗い、愛人もすべて切ろうと決意するのですが、ここで問題なのは「上手に別れなければならない」という点。
そこで文士が「凄い美人を嘘の女房として紹介し、女達を諦めさせろ」というもの。そこから田島の”人生喜劇”が始まります。
今回の大泉洋×小池栄子による「グッドバイ」はオリジナル要素が多い為、上記の設定も変わっていますが、どのように変わっているのか。早速ですが感想を書いていきたいと思います。
小池栄子の今までにない演技が非常に面白かった
オリジナルと違う点は田島が青森に住んでいる妻と子供の為に愛人をすべて切り、再び3人で暮らしたいと願う事から始まります。小説家である連行(松重豊)に相談すると「美人なやつを探し、そいつを紹介しろ」とオリジナル版と同じ展開になるのですが、その後は小説が絶版となっている為、完全オリジナルとなります。
ある日、美人を見つけた田島だったが探しても見つからず、その相手がなんとガサツで担ぎ屋をしていたキヌ子でした。
この担ぎ屋というのは戦時中から戦後にかけて。いわゆる「闇屋」で地方に行き、高い値段で米や物資などを販売していた人たちの事です。
そんなキヌ子に「妻のフリをしてくれたら今稼いでいる額の倍を払う」と契約するのですが、そこから田島とキヌ子の妙な関係が始まっていく事となります。
今回面白かった大きなポイントは小池栄子の演技でしょうか。キヌ子は戦時中からずっと一人で生活をし、男ばかりの担ぎ屋の中、女ひとりで生きてきた人間です。
勿論、上品にするという言葉から程遠い彼女なのですが小池栄子は上手に演技出来ていました。テレビや他映画で見る小池栄子とはまた違い、声も少し変え言葉遣いも少し男っぽい口調であったり。田島を担いで投げるシーンや、病院に運ぶシーンなどは本当に凄いと思いましたね。
優しすぎる田島という役を演じた大泉洋が思いの外ピッタリだった
女に優しいが人として駄目な所が沢山ある田島という男。私個人的に大泉洋が本当にぴったりだったと感じましたね。
田島という男は言われた言葉を素直に受け取ってしまい、弱っている女性を見るとすぐ優しくしてしまう。そんな男ですがキヌ子に対しては本当の自分でいられ、気を使わなくて良い事に気づいていきます。
小池栄子と大泉洋は映画公開前に様々な番組で番宣をしていましたが、それを観ていてもピッタリなコンビだと思いました。今作の2人はまさに”人生喜劇”と呼ぶに相応しい名コンビだったと思います。
最近の邦画作品の中で”やっと普通に観れた”作品
小池栄子の声を変えながらの演技に少し違和感を覚えたものの、それ以外は全く普通で可もなく不可もなくという感じでしょうか。
小池栄子や大泉洋が好きな人は見て損は無い作品だと思います。内容に関しては誰でも楽しめるという作品というよりは少し年齢層は高いかも知れません。
今年に入り「AI崩壊」「ヲタクに恋は難しい」と視聴し、今作で「やっと特にモヤモヤが無く観終わった」と思いましたね。ヲタ恋は私の過去ブログを観てもらうと解ると思いますがAI崩壊も一つ気になるとモヤモヤが残ってしまっていたので、今回はスッキリ出来たことに安心しました。
来週は「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」もしくは「スキャンダル」を視聴する予定なのでまた是非ご覧ください。それでは今作の感想を終わりたいと思います。(完)