近畿地方から送るゆる~いブログ

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近畿地方、主に滋賀県からお送りする雑記ブログです。映画や読書、滋賀県の素敵な観光地からお食事まで様々な事をご紹介したいと思います。

【読書】石原慎太郎最新作「救急病院」を読んだ感想とレビューを書いていきます-日本のドクターの熱き人間ドラマ-

1つの救急病院で起こる人間ドラマ

昨年発売され大きな話題となった「天才」から1年後という早いスピードでの出版となります。昨年発売された「天才」は私も読みましたが本当に面白く石原文学の虜になってしまいました。

 

そんな石原文学の最新作が今回の「救急病院」という病院をテーマにした人間ドラマです。全163ページと少なく読みやすい本でした。気になる内容は。

 生死を決めるのは神の意志か、ドクターの情熱か。
救急救命の最前線で繰り広げられる熱き人間ドラマ。衝撃のラスト!
「生命の尊厳」を追究した石原文学の新たな地平

この道を選んだ限り、私たちは黙って
人を殺し人を生かしていくんだよ。
千代田区溜池にある中央救急病院は、南棟屋上にヘリポートを備え、北棟屋上倉庫にはドクターヘリを保有。都下のはるか南の小笠原諸島から神奈川・千葉・埼玉一円をカバーする病床1500を誇る首都圏随一の救急総合病院。そんな病院に今日も地下鉄の人身事故で瀕死の重傷を負った妙齢の女性が運び込まれた。左脚の裂傷は無残なありさまで、切断された骨の周りの筋肉でかろうじてつながっている状態。駆けつけた患者の父親が涙ながらに訴えるには、彼女はほどなく結婚する予定だという。救急部長の梶山をはじめとする担当チームが高度な縫合手術に臨む――。

(Amazon参照)

 なぜ石原慎太郎が今回のテーマを「病院」にしたのか。それは小説の最後に解るのですが、とりあえず感想・レビューを書いていきたいと思います。

毎日のように起こっている病院の人間ドラマ

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舞台は「救急病院」という事で様々な患者さんのストーリーがあります。人身事故で瀕死の重症を負った女性。風邪が悪化してしまった少女。首を拳銃で打たれた重要な証人。人工透析の患者の臓器移植。生まれてから腸に異常がある男性。脳に腫瘍が出来た男性。いくつものストーリーが存在し、話が終われば区切り無く次の患者の話に移行する。それは本当に「救急病院」のように患者が次から次へと変わるかのようなストーリー展開に一気に読み終えてしまった。

 

同じ病院に来ている患者さんだが個性があり、生まれた環境、職業、未来、過去。そういった個性が読んでいて飽きないですね。最後の後書きにこのように書いてあります。

三年ほど前に軽い脳梗塞を起こし奇跡的に早めに気づいて1月ほど入院した事がある。所は首都圏随一の救急病院の都立広尾病院だったが、院長以下多くのスタッフの手厚い看護のお陰で何とか立ち直る事が出来た。

(中略)

日本の救急医療体制は世界の中でも格段に進んでいると思われているが、同時にそれに関わる医師たちの苦労とその心境は並大抵のものではない。この一書が彼等の苦労の少しでもの支えになればと思っているが。

この後書きを詠んだ後、再度本の内容を思い出しこの本の素晴らしさが人間ドラマというよりも「日々、ドラマのような事が起こっている。決してフィクションではない」という事がよく解りました。この本は多くの人に読んで貰いたいですね。

 

まとめ

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今回の「病院」をテーマにした本でしたが最後は読んで納得出来ました。日本の医療は進んでいると言われていますが本に登場した医師のような人物がいるからこそ「日本の医療は素晴らしい」と言われているのだと改めて思います。

今回の救急病院も前作「天才」と同じように私として非常に面白い1冊だと思いました。さすが石原文学と思える1冊なので気になった方は是非買ってみてくださいね。

救急病院 (幻冬舎文庫)

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