司馬遼太郎の名作小説である「関ヶ原」を映画化
岡田准一主演映画である「関ヶ原」が公開され早速観てきました。歴史ファンであれば今作は見逃せない作品となっているのではないでしょうか。過去にも関ヶ原をテーマにした作品がいくつか存在します。1981年に放送された「関ヶ原」や2006年放送の「戦国自衛隊・関ヶ原の戦い」などいくつか存在しますが映画としては今作が初めてと言えますね。
私個人的には1981年放送された「関ヶ原」は非常に好きな作品と言えます。3部構成ですべて観るには約5時間半と長いのですが、それでも関ヶ原の戦いの魅力を語るには足りないくらいですが、上手にまとめられていると思いました。さて、今作は。
幼くして豊臣秀吉に才能を認められ、取りたてられた石田三成は、秀吉に忠誠を誓いながらも、正義ではなく利害で天下を治める秀吉の姿勢に疑問も抱いていた。そんな三成の下には、猛将として名高い島左近や伊賀の忍びの初芽らが仕えるようになるが、秀吉の体調が思わしくないなか、天下取りの野望を抱く徳川家康は、言葉巧みに武将たちを自陣に引き込んでいった。そして1598年8月、秀吉が逝去。1600年9月15日、毛利輝元を総大将に立てた三成の西軍と、家康率いる東軍が関ヶ原で天下分け目の決戦に挑むこととなる。 (映画.com引用)
このようなストーリーになっています。戦国最大の戦を今作がどのように表現しているのか。早速、感想・レビューを書いていきたいと思います。
映画を観る前に、事前に調べておくと更に面白い
関ヶ原の戦いは東西合わせて20万近い兵力がぶつかった戦国最大の合戦と言われていますが、その勝敗は半日で決着がついてしまいます。
そもそもこの合戦の中心人物となっているのが岡田准一さん演じる石田三成。今作の舞台である関ヶ原の戦いは東軍大将である徳川家康、西軍大将は毛利輝元と共に豊臣秀吉が晩年に定めた5大老のメンバーです。
しかし大将である毛利輝元は大阪城から出ることなく、関ヶ原の戦いには参加していないので、この戦いの中心人物は石田三成と徳川家康になる。そもそも関ヶ原の戦いのきっかけは石田三成と徳川家康との対立にあります。
豊臣秀吉が亡くなったのが1598年。徳川家康は亡くなった後、すぐに豊臣秀吉の決まりごとを早速破ってしまいます。それが「大名間の勝手な婚姻」。多くの大名と身内関係を結んでしまいます。これに異論を唱えたのが石田三成です。
そういった意見の食い違いもありますが、もっと言えば豊臣秀吉が生きている時に天下統一を果たしました。人々は100年以上続いた戦国時代がようやく終わりを迎え平和な時代がやってくると思っていたに違いありません。しかし豊臣秀吉は国内ではなく朝鮮出兵を兵士に命じます。慣れない土地での戦い、2度にわたって出兵を命じた豊臣秀吉を良いと思っていた人は少ないのです。
今回の映画で徳川派についた中には武断派がいますが、それらの多くは朝鮮出兵に行っていた者も多くいました。石田三成と武断派は考え方は違えど主君は豊臣秀吉。しかし、決定的な違いは武断派は現地に行き、豊臣秀吉に戦場の報告を直接出来ないが、石田三成は国内におり「有利、不利」という言葉でしか伝えなかった事が武断派の怒りをかったとされています。
関が原の戦いで徳川家康が動いた決定的な出来事が関ヶ原の戦いの1年前。前田利家の死去です。豊臣秀吉が亡くなった後五大老が政務を執り行うのすが、この五大老とは誰のことかと書きますと毛利輝元、前田利家、徳川家康、小早川隆景、宇喜多秀家の五名となっています。小早川隆景の死去した後、上杉景勝が後任を任されています。
この中での筆頭は徳川家康。しかし徳川家康が一目置いていた人物がいます。それが前田利家。前田利家は織田信長の家臣で、豊臣秀吉が織田信長に仕える以前から家臣として使えていた為、豊臣秀吉と前田利家は仲が良かったと言われています。そんな前田利家が無くなり、恐れるものが無くなった徳川家康はその後、大胆な行動で天下を取ろうと行動していく事になります。
2時間30分と長編ながら関ヶ原の戦いを語るにはやはり短い
天下分け目の大戦と言われた関ヶ原の戦いを豊臣秀吉時代から関ヶ原の戦いまで約2時間30分という時間で上映するにしては、やはり短いという気持ちにもなった。
映画を観る人の中には「関ヶ原の戦い」と聞いたことがあるが、実際どういった戦いだったのかを知らないで観る人もいると思いますが、そういった人に対しては場面が飛び過ぎて何とか追いついて観るのが精一杯だったのではないでしょうか。
私はもっと関ヶ原がなぜ舞台になったのかを描いて欲しいと思った。関ヶ原という場所は美濃(岐阜県)の西端になる関ヶ原は東日本と西日本の境目にあたり東西両軍が戦うには相応しいと判断したからです。石田三成としては当初、もっと東で徳川家康を食い止めるのが一番だったが徳川家康の進行が早く大垣城で東軍を迎え撃とうとしたが、戦略上から城を捨て、野戦で戦った方が短期決戦で良いと判断したというのもある。
そういった細かな説明が無かったは少し不満に思ったが、帰ってからわからなかった事を調べてみると更に映画を理解し面白く思えるので、それはそれで有りかも知れないとも思った。
関ヶ原の戦いは要注目
関ヶ原の戦いではドローンを使った撮影やVFX、アクションまで1つ1つ臨場感があり、そして観る人をスクリーンから目が離せなくなるような戦いが観れました。
特に戦国といえば殺陣。今作の殺陣は他の時代劇とは違い槍で叩いたり、刀で鎧を切るのではなく、鎧ではない首や足を狙うシーンが多く見られました。分厚い甲冑を着ている相手に刀で斬りつけても斬れない。では、どのように戦ったのかを考えたとコメントしています。槍で頭を叩き、脳震盪を起こさせた後突く。このやり方は当時でも主流だったと言われており、そういった細かな再現などは見ていて面白いと感じました。
VFXでは劇中に登場する蝋燭などは8割以上が炎の合成で作られています。もちろん、関ヶ原の戦いではより迫力を付け加える為、馬のシーンでは予め撮影したシーンに加えより一層激しく動く馬を追加したそうです。劇中で観ている時は感じませんが、言われた後では「あ~あのシーンはだから迫力があったのか」と納得してしまいました。
関ヶ原をテーマにした作品にまた1ページ
今作の「関ヶ原」は関ヶ原の戦いを題材とした作品としてまた新しい1ページを作ったのではないかと思います。
関ヶ原の戦いの規模、そして登場人物の歴史や想いなどを徹底的に映画化しようとすると何部作かに分ける必要がありますが、それを2時間30分という時間で作成したのは凄い事だと思います。
パンフレットのボリュームは圧巻の58ページ。最近のパンフレットの中では一番ページ数が多いと言えますね。その中は今作を観た人はもちろん歴史が好きな人でも楽しめる内容となっています。西軍東軍の人物相関図や各出演者のコメントも読み応え抜群の内容になっています。是非、劇場で購入して見てくださいね。
これにて映画「関ヶ原」の感想とレビューを終わりたいと思います!最後まで読んで頂き有難うございました。